治部煮
- 石川県金沢市
- グルメ | 煮物・汁物
金沢の城下町で江戸時代から武家や庶民の間で親しまれ、現在では加賀料理の献立に欠かせない代表的な郷土料理として定着している、鴨肉や鶏肉を使ったとろみのある煮物が「治部煮」です。
調理の要となるのは、薄切りにした鴨肉(または鶏肉)の表面に、小麦粉や片栗粉を丁寧に塗してから煮る独自の技法にあります。こ…
金沢の城下町で江戸時代から武家や庶民の間で親しまれ、現在では加賀料理の献立に欠かせない代表的な郷土料理として定着している、鴨肉や鶏肉を使ったとろみのある煮物が「治部煮」です。
調理の要となるのは、薄切りにした鴨肉(または鶏肉)の表面に、小麦粉や片栗粉を丁寧に塗してから煮る独自の技法にあります。これにより、お肉のジューシーな旨味や水分が内側にしっかりと閉じ込められ、同時に煮汁全体に自然で滑らかなとろみが加わります。具材には、金沢伝統のすだれ麩や、椎茸、タケノコ、セリなどの季節の野菜が合わせられ、醤油、みりん、砂糖、出汁で仕立てた甘辛い汁で手早く煮上げられます。
お椀に盛り付けられて運ばれてくると、独特の深いお椀の佇まいとともに、甘辛い醤油の芳醇な香りと、薬味として天盛りにされた生姜や山葵のシャープな匂いが湯気とともに立ち上ります。お箸でお肉を切り分けて口に含むと、小麦粉の衣が煮汁をたっぷりと抱き込み、ツルリとしたなめらかな口当たりが唇をすり抜けます。奥まで火が通りつつもしっとりとした柔らかさが保たれており、お肉本来の濃厚なコクが、とろみの付いた出汁の塩気と綺麗に重なり合います。
