茶がゆ

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黒潮が流れる豊かな海と険しい紀伊山地に囲まれた和歌山において、かつて高野山などの社寺の門前町や紀の川流域の農村を中心に、朝昼晩の日常食として毎日のように炊かれてきた、紀州の暮らしの知恵が詰まった伝統的な主食が「茶がゆ」です。 料理は、広大な山々で栽培される「ほうじ茶」や「カワラケツメイ」などの茶…

黒潮が流れる豊かな海と険しい紀伊山地に囲まれた和歌山において、かつて高野山などの社寺の門前町や紀の川流域の農村を中心に、朝昼晩の日常食として毎日のように炊かれてきた、紀州の暮らしの知恵が詰まった伝統的な主食が「茶がゆ」です。

料理は、広大な山々で栽培される「ほうじ茶」や「カワラケツメイ」などの茶葉を大きな鍋にたっぷりと入れ、濃い琥珀色の茶汁を作ることから始まります。そこへ、あらかじめ軽く洗って粘り気を抑えたお米を一度に投入し、強火で一気に炊き上げます。一般的な白粥のように時間をかけて煮込まず、お米の芯が取れた瞬間に火を止めることで、お米の粒がしっかりと立ち、汁気がサラサラとした独特の質感に仕上がります。

湯気が立ち上るお椀が目の前に運ばれてくると、ほうじ茶特有の香ばしく焙煎された匂いと、お米の優しい薫りが一気に広がります。木匙ですくい取って汁と一緒にお口へと運ぶと、熱々の心地よい温もりが広がり、サラサラとした軽快な喉越しとともに、粒の立ったお米の心地よい歯ごたえが伝わります。口の中に広がるのは、ほうじ茶のすっきりとした渋みと、お米本来の素朴な甘みです。

発祥

江戸時代、紀州藩の庶民が貧しく、年貢として納める大切なお米を節約するため、少ない米にたっぷりのお茶を入れて炊き出し、ボリュームを出したのが始まりと言われています。