甲州印伝

  • 山梨県 甲府市、市川三郷町、身延町など
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400年以上の歴史を紡いできた「甲州印伝」。戦国時代には武将たちの甲冑(よろい)や巾着を飾り、江戸時代には粋な町人たちのステータスシンボルとして愛されてきたこの工芸品は、しなやかな「鹿革」と、美しく立体的な「漆」が織りなす、日本独自の美意識が宿るレザーアイテムです。 魅力は、手になじむ極上の柔ら…

400年以上の歴史を紡いできた「甲州印伝」。戦国時代には武将たちの甲冑(よろい)や巾着を飾り、江戸時代には粋な町人たちのステータスシンボルとして愛されてきたこの工芸品は、しなやかな「鹿革」と、美しく立体的な「漆」が織りなす、日本独自の美意識が宿るレザーアイテムです。

魅力は、手になじむ極上の柔らかさと、時が経つほどに増していく独特の風合いにあります。野生の鹿革は軽くて強靭、かつ通気性に優れているのが特徴で、職人はまず、革の表面を染色したり、藁を燃やした煙で燻して独特の渋みのある色合いを出す「燻べ」の技法で下地を整えます。

個性を決定づけるのが、漆を使って模様を描き出す「漆置き」の工程です。職人は、細かな幾何学模様や伝統的な小紋が彫られた伊勢型紙を鹿革の上に重ね、その上からヘラを使って漆を薄く、均一に刷り込んでいきます。型紙をそっと持ち上げると、漆のぷっくりとした立体的な模様が均等に浮かび上がります。この漆をのせる力加減は、革の厚みやその日の湿度によって微妙に異なるため、すべては職人の指先の感覚のみに委ねられます。