金沢漆器

  • 石川県金沢市、野々市市、内灘町
  • 伝統工芸品 | 漆器
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加賀藩の歴代藩主が京都や江戸から当代随一の美術工芸家を招聘し、お家芸として手厚く保護・育成した歴史を持つ金沢漆器。この地で花開いた漆芸は、庶民の日常雑器から発展した多くの産地とは完全に一線を画し、高貴な武家や茶人たちの鑑賞にも堪えうる「貴族的な格調」と、工芸品をひとつの立体芸術へと高める強烈な美意…

加賀藩の歴代藩主が京都や江戸から当代随一の美術工芸家を招聘し、お家芸として手厚く保護・育成した歴史を持つ金沢漆器。この地で花開いた漆芸は、庶民の日常雑器から発展した多くの産地とは完全に一線を画し、高貴な武家や茶人たちの鑑賞にも堪えうる「貴族的な格調」と、工芸品をひとつの立体芸術へと高める強烈な美意識に貫かれています。

個性の象徴は、他に類を見ないほど精緻で華麗な「加賀蒔絵」の技術です。漆で描いた絵柄に金粉を蒔く一般的な手法に留まらず、金沢の職人たちは漆を何層も塗り重ねて絵柄そのものを高く盛り上げる「高蒔絵」や、金銀の薄板を精巧な形に切り抜いて貼り付ける「平文」といった高度な技法を駆使します。これにより、器の表面にはまるで彫刻や建築物のような物理的な奥行きが生まれ、光の当たる角度によって金銀の意匠が劇的な陰影を描き出します。

この豪奢な装飾を支える土台として、木地には変形の少ない上質なキリやケヤキが選ばれ、下地から上塗りに至るまで職人の徹底的な手仕事によって滑らかな鏡面が作られます。堅牢でありながら重厚すぎず、持った瞬間に手肌にしっとりと吸い付くような品格のある質感が、最高峰の蒔絵の美しさをさらに引き立てます。