若狭塗
- 福井県小浜市
- 伝統工芸品 | 漆器
準備中
若狭塗は、卵の殻や貝殻、松葉といった自然の素材を漆の中に閉じ込め、それを平らになるまで徹底的に研ぎ出すことで、独特の幾何学模様や海底のきらめきのような文様を浮かび上がらせる漆器です。表面に絵柄を描く一般的な漆器とは異なり、何層もの素材の重なりを「削り出す」ことで生まれる、独特の立体的な奥行きと高い…
若狭塗は、卵の殻や貝殻、松葉といった自然の素材を漆の中に閉じ込め、それを平らになるまで徹底的に研ぎ出すことで、独特の幾何学模様や海底のきらめきのような文様を浮かび上がらせる漆器です。表面に絵柄を描く一般的な漆器とは異なり、何層もの素材の重なりを「削り出す」ことで生まれる、独特の立体的な奥行きと高い強靭さを備えています。
製造の核心となるのは、漆の層の中に文様の種を仕込む「模様付け」と、それを研ぎほぐす工程です。まず木地の上に漆を塗り、そこに細かく砕いたアワビやクジャク貝の殻、あるいは均一に割った卵の殻を規則的、またはランダムに配置します。さらに松葉や菜種などを置いて漆を塗り重ね、乾燥後にそれらを取り除くことで、漆の表面に複雑な凹凸の型を作ります。その上からさらに金箔を全面に貼り、色漆を十数回にわたって塗り重ねて器を完全に覆い隠します。
ここから、職人が砥石や炭を使って表面を極限まで平らに研ぎ出していきます。塗り重ねられた何層もの漆の壁が削られることで、下に眠っていた金箔の輝き、貝殻の妖艶な色彩、卵殻の柔らかな白が複雑に交錯した、一糸乱れぬ抽象的な文様が表面に露出します。
