大内塗

  • 山口県山口市周辺
  • 伝統工芸品 | 漆器
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大内塗は、独特の深みを持つ渋い緑色の地漆をベースに、衣服の文様を模した金箔の切り箔を贅沢にあしらった、極めて落ち着いた格調高い佇まいを持つ漆器です。原色に近い鮮やかな赤や黒を多用する一般的な漆器とは一線を画し、室町時代の公家文化の洗練をそのまま器の表面に定着させたかのような、静かで重厚な審美眼に貫…

大内塗は、独特の深みを持つ渋い緑色の地漆をベースに、衣服の文様を模した金箔の切り箔を贅沢にあしらった、極めて落ち着いた格調高い佇まいを持つ漆器です。原色に近い鮮やかな赤や黒を多用する一般的な漆器とは一線を画し、室町時代の公家文化の洗練をそのまま器の表面に定着させたかのような、静かで重厚な審美眼に貫かれています。

特徴は、「大内みどり」と呼ばれる深緑色の漆の表現にあります。職人が入念に精製した漆に独自の調合を施し、幾重にも塗り重ねることで、まるで深い森の奥底や苔むした庭園を覗き込んでいるかのような、吸い込まれるような光沢を生み出します。この落ち着いた緑のキャンバスの上に、さらに職人が細かく裁断した金箔を一枚一枚手作業で貼り付け、伝統的な「大内菱」と呼ばれる幾何学的な菱形文様を規則的に配置していきます。

装飾面では、この金箔の輝きに加えて、秋の草花や鳥といった古典的なモチーフが色漆を使って優美に描き込まれます。金銀を派手に盛り上げるのではなく、あくまで深い地漆の色と調和するように薄くフラットに仕上げられるため、光の当たる角度によって金箔が鈍く上品に煌めくという、引き算の美学が徹底されています。