石州和紙

  • 島根県江津市、浜田市
  • 伝統工芸品 | 和紙
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日本海の潮風と厳しい自然に鍛えられてきた石州和紙。古くから「大阪の商人が火事の際、帳簿を井戸に投げ込んで守った」という逸話が残るほど、この和紙の魅力は、他の追随を許さない「圧倒的な堅牢さと実直さ」にあります。旅先でそのざっくりとした素朴な紙肌に触れるとき、私たちは手仕事の究極のタフさに深く圧倒され…

日本海の潮風と厳しい自然に鍛えられてきた石州和紙。古くから「大阪の商人が火事の際、帳簿を井戸に投げ込んで守った」という逸話が残るほど、この和紙の魅力は、他の追随を許さない「圧倒的な堅牢さと実直さ」にあります。旅先でそのざっくりとした素朴な紙肌に触れるとき、私たちは手仕事の究極のタフさに深く圧倒されることになります。

規格外の強さを生み出す理由は、地元で栽培される良質な「楮」の個性を100%引き出す職人たちのストイックな選択にあります。石州の楮は繊維が一段と太く、引き締まっているのが特徴です。職人はこの太い繊維の強度をあえて落とさないよう、楮の皮の緑色の部分(甘皮)を適度に残したまま漉き上げます。これにより、紙の表面には大地の息吹を感じさせるわずかな茶褐色の粒子が残り、まるで織物や布地を思わせる、野性的で力強いテクスチャーが完成するのです。

化学薬品での漂白を避け、自然のままの色を湛えた石州和紙は、時間が経っても劣化せず、むしろ年数を重ねるごとに空気中の光を吸って白さを増していくという不思議な生命力を持っています。