東京銀器

  • 東京都台東区、荒川区、文京区
  • 伝統工芸品 | 金工品
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東京銀器は、江戸時代の中期、貨幣の製造に携わっていた銀師や、刀の飾りを手掛けていた職人たちが、大都市・江戸の町人文化や独自の美意識と結びつくことで発展を遂げました。 硬質な美しさを支えているのが、純度92.5%以上の厳格な地金選びと、一枚の平らな銀板を叩き伸ばして立体へと変形させる「鍛金」の技法…

東京銀器は、江戸時代の中期、貨幣の製造に携わっていた銀師や、刀の飾りを手掛けていた職人たちが、大都市・江戸の町人文化や独自の美意識と結びつくことで発展を遂げました。

硬質な美しさを支えているのが、純度92.5%以上の厳格な地金選びと、一枚の平らな銀板を叩き伸ばして立体へと変形させる「鍛金」の技法です。職人は木槌や金槌を用い、銀の板を何度も叩くことで金属の分子を緻密にし、強度を極限まで高めていきます。叩くほどに硬化する銀の性質を見極め、火で炙って柔らかくする「なまし」の作業を何度も挟みながら、溶接を一切行わずに一つの美しい曲面へと絞り上げていきます。さらに、表面にたがねとハンマーを使って緻密な文様を刻み込む「彫金」の技術により、光を優しく乱反射させる独特の輝きが生まれるのです。

かつて江戸の町人たちが、表向きは質素を装いながらも、手元の煙管や根付に最高級の銀を忍ばせたという粋の文化。道具としての実用的な堅牢性を極めながら、磨くほどに特有の柔らかな光沢を放ち続ける、東京の洗練された手技がこの銀の意匠に凝縮されています。